四正断 あるいは四正勤と称ず
Posted: 土 1 10, 2026 6:33 am
以下は、提示文(道元禅師『正法眼蔵』的語法)を「仏道の参究点」として深掘りするための視点整理です。
四正断/四正勤を倫理規範や努力目標としてではなく、修証一等・現成公案の立場から読みます。
Ⅰ.四正断は「善悪管理」ではない
一般理解では四正断は
| 悪を減らし、善を増やすための努力
とされますが、本文ではその理解を徹底的に破壊しています。
決定的転換点
・善悪は固定した実体ではない
・時間(未生・已生)も線的に扱われていない
・「令〜」は主体的操作ではない
四正断=心を管理する修行ではなく、法の時間構造そのもの
Ⅱ.未生悪令不生 ――「未来」を立てない仏法
未生悪は「まだ起きていない悪」ではない
| 悪の称、かならずしもさだまれる形段なし
・悪には実体も形もない
・状況(地・界)によって仮に名づけられているだけ
未来を実在させると外道になる
| もし未来にありといはば、ながくこれ断滅見の外道なり
ここで道元が切っているのは:
・「いずれ悪が起きるかもしれない」という思考
・予防倫理・潜在悪モデル
未来を実体化した瞬間、三世が混乱する
未生悪とは何か
| 彌天の積悪、これを未生悪と称ず
・天に満つるほどの悪ですら「未生」
・なぜなら いま現成していないから
不生とは固定しないこと
| 不生といふは、昨日説定法、今日説不定法なり
不生=法を凍結しないこと正しさを確定させない勇気
Ⅲ.已生悪令滅 ――「滅する」とは消すことではない
已生は尽生・半生・此生
・已生=完全に生じきったもの
・しかし同時に「半生」「此生」
悪は完全に現れつつ、同時に未完
滅とは何か
| 滅は滅を跳出透脱するを滅とす
・押さえ込むことではない
・対立的に否定することでもない
調達(提婆達多)の逆説
| 調達生身入地獄なり
| 調達生身得授記なり
・悪人が悪を滅したのではない
・悪を生き切ることが、滅を現成させる
滅=転成(パラヴィルティ)
Ⅳ.未生善令生 ―― 善を「作らない」
善は未来から来ない
| 父母未生前面目参飽なり
| 威音王以前の会取なり
・善は努力の成果ではない
・生まれる前からすでに満ちている
善=本来具足
「生ぜしむ」の逆説
・何かを生み出す行為ではない
・隠れていたものが現れるだけ
善は「作為」ではなく「露呈」
Ⅴ.已生善令増長 ―― 完成させないことが完成
なぜ「令生」ではなく「令増長」か
| 已生善令生といはず、令増長するなり
・善はすでに生じている
・だから「完成」させない
止めないことが増長
明星の譬え
| 自見明星訖、更教他見明星
・自己の悟りで完結しない
・他が見ることで、さらに増長する
善は分かち合うことで増える
眼睛作明星
・眼が明星になる
・主体と対象が反転
善は所有できない
Ⅵ.四正断を貫く核心構造
| 項目 | 通常理解 | 本文の立場 |
| -・| ----・| ----・|
| 悪 | 排除すべき対象 | 実体のない仮称 |
| 善 | 増やす成果 | 本来具足 |
| 未生 | 未来 | 非実体 |
| 已生 | 過去 | 現成 |
| 断 | 否定 | 跳出 |
| 勤 | 努力 | 現成作用 |
Ⅶ.四正断=時間の仏道的再編
四正断は実は:
・倫理体系ではなく
・心理トレーニングでもなく
・時間そのものの誤解を断つ教え
・未来に縛られない
・過去に固定しない
・現在を管理しない
その自由な流動が「正」
Ⅷ.総一句(参究のために)
| 悪を断ずるにあらず
| 善を作るにあらず
| ただ法を凍らせざること
| これ四正断なり
この視点で読むと、
・迷い
・失敗
・煩悩
・習慣
すべてが 「断ぜられるべき対象」ではなく、
仏道が跳躍する現場 として立ち上がります。
次に進むなら:
・五根・五力との連関
・精進波羅蜜との違い
・只管打坐における四正勤
どこからでも、さらに深められます。
四正断/四正勤を倫理規範や努力目標としてではなく、修証一等・現成公案の立場から読みます。
Ⅰ.四正断は「善悪管理」ではない
一般理解では四正断は
| 悪を減らし、善を増やすための努力
とされますが、本文ではその理解を徹底的に破壊しています。
決定的転換点
・善悪は固定した実体ではない
・時間(未生・已生)も線的に扱われていない
・「令〜」は主体的操作ではない
四正断=心を管理する修行ではなく、法の時間構造そのもの
Ⅱ.未生悪令不生 ――「未来」を立てない仏法
| 悪の称、かならずしもさだまれる形段なし
・悪には実体も形もない
・状況(地・界)によって仮に名づけられているだけ
| もし未来にありといはば、ながくこれ断滅見の外道なり
ここで道元が切っているのは:
・「いずれ悪が起きるかもしれない」という思考
・予防倫理・潜在悪モデル
未来を実体化した瞬間、三世が混乱する
| 彌天の積悪、これを未生悪と称ず
・天に満つるほどの悪ですら「未生」
・なぜなら いま現成していないから
| 不生といふは、昨日説定法、今日説不定法なり
不生=法を凍結しないこと正しさを確定させない勇気
Ⅲ.已生悪令滅 ――「滅する」とは消すことではない
・已生=完全に生じきったもの
・しかし同時に「半生」「此生」
悪は完全に現れつつ、同時に未完
| 滅は滅を跳出透脱するを滅とす
・押さえ込むことではない
・対立的に否定することでもない
| 調達生身入地獄なり
| 調達生身得授記なり
・悪人が悪を滅したのではない
・悪を生き切ることが、滅を現成させる
滅=転成(パラヴィルティ)
Ⅳ.未生善令生 ―― 善を「作らない」
| 父母未生前面目参飽なり
| 威音王以前の会取なり
・善は努力の成果ではない
・生まれる前からすでに満ちている
善=本来具足
・何かを生み出す行為ではない
・隠れていたものが現れるだけ
善は「作為」ではなく「露呈」
Ⅴ.已生善令増長 ―― 完成させないことが完成
| 已生善令生といはず、令増長するなり
・善はすでに生じている
・だから「完成」させない
止めないことが増長
| 自見明星訖、更教他見明星
・自己の悟りで完結しない
・他が見ることで、さらに増長する
善は分かち合うことで増える
・眼が明星になる
・主体と対象が反転
善は所有できない
Ⅵ.四正断を貫く核心構造
| 項目 | 通常理解 | 本文の立場 |
| -・| ----・| ----・|
| 悪 | 排除すべき対象 | 実体のない仮称 |
| 善 | 増やす成果 | 本来具足 |
| 未生 | 未来 | 非実体 |
| 已生 | 過去 | 現成 |
| 断 | 否定 | 跳出 |
| 勤 | 努力 | 現成作用 |
Ⅶ.四正断=時間の仏道的再編
四正断は実は:
・倫理体系ではなく
・心理トレーニングでもなく
・時間そのものの誤解を断つ教え
・未来に縛られない
・過去に固定しない
・現在を管理しない
その自由な流動が「正」
Ⅷ.総一句(参究のために)
| 悪を断ずるにあらず
| 善を作るにあらず
| ただ法を凍らせざること
| これ四正断なり
この視点で読むと、
・迷い
・失敗
・煩悩
・習慣
すべてが 「断ぜられるべき対象」ではなく、
仏道が跳躍する現場 として立ち上がります。
次に進むなら:
・五根・五力との連関
・精進波羅蜜との違い
・只管打坐における四正勤
どこからでも、さらに深められます。