四正断 あるいは四正勤と称ず

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展開ビュー トピックのレビュー: 四正断 あるいは四正勤と称ず

以下は、提示文(道元禅師『正法眼蔵』的語法)を「仏道の参究点」として深掘りするための視点整理です。
四正断/四正勤を倫理規範や努力目標としてではなく、修証一等・現成公案の立場から読みます。

Ⅰ.四正断は「善悪管理」ではない

一般理解では四正断は

| 悪を減らし、善を増やすための努力

とされますが、本文ではその理解を徹底的に破壊しています。

決定的転換点

・善悪は固定した実体ではない
・時間(未生・已生)も線的に扱われていない
・「令〜」は主体的操作ではない
四正断=心を管理する修行ではなく、法の時間構造そのもの

Ⅱ.未生悪令不生 ――「未来」を立てない仏法

1️⃣ 未生悪は「まだ起きていない悪」ではない

| 悪の称、かならずしもさだまれる形段なし

・悪には実体も形もない
・状況(地・界)によって仮に名づけられているだけ

2️⃣ 未来を実在させると外道になる

| もし未来にありといはば、ながくこれ断滅見の外道なり

ここで道元が切っているのは:
・「いずれ悪が起きるかもしれない」という思考
・予防倫理・潜在悪モデル
未来を実体化した瞬間、三世が混乱する

3️⃣ 未生悪とは何か

| 彌天の積悪、これを未生悪と称ず

・天に満つるほどの悪ですら「未生」
・なぜなら いま現成していないから

4️⃣ 不生とは固定しないこと

| 不生といふは、昨日説定法、今日説不定法なり
不生=法を凍結しないこと正しさを確定させない勇気

Ⅲ.已生悪令滅 ――「滅する」とは消すことではない

1️⃣ 已生は尽生・半生・此生

・已生=完全に生じきったもの
・しかし同時に「半生」「此生」
悪は完全に現れつつ、同時に未完

2️⃣ 滅とは何か

| 滅は滅を跳出透脱するを滅とす

・押さえ込むことではない
・対立的に否定することでもない

3️⃣ 調達(提婆達多)の逆説

| 調達生身入地獄なり
| 調達生身得授記なり

・悪人が悪を滅したのではない
・悪を生き切ることが、滅を現成させる
滅=転成(パラヴィルティ)

Ⅳ.未生善令生 ―― 善を「作らない」

1️⃣ 善は未来から来ない

| 父母未生前面目参飽なり
| 威音王以前の会取なり

・善は努力の成果ではない
・生まれる前からすでに満ちている
善=本来具足

2️⃣ 「生ぜしむ」の逆説

・何かを生み出す行為ではない
・隠れていたものが現れるだけ
善は「作為」ではなく「露呈」

Ⅴ.已生善令増長 ―― 完成させないことが完成

1️⃣ なぜ「令生」ではなく「令増長」か

| 已生善令生といはず、令増長するなり

・善はすでに生じている
・だから「完成」させない
止めないことが増長

2️⃣ 明星の譬え

| 自見明星訖、更教他見明星

・自己の悟りで完結しない
・他が見ることで、さらに増長する
善は分かち合うことで増える

3️⃣ 眼睛作明星

・眼が明星になる
・主体と対象が反転
善は所有できない

Ⅵ.四正断を貫く核心構造

| 項目 | 通常理解  | 本文の立場  |
| -・| ----・| ----・|
| 悪 | 排除すべき対象 | 実体のない仮称 |
| 善 | 増やす成果  | 本来具足  |
| 未生 | 未来   | 非実体   |
| 已生 | 過去   | 現成   |
| 断 | 否定   | 跳出   |
| 勤 | 努力   | 現成作用  |

Ⅶ.四正断=時間の仏道的再編

四正断は実は:
・倫理体系ではなく
・心理トレーニングでもなく
・時間そのものの誤解を断つ教え



・未来に縛られない
・過去に固定しない
・現在を管理しない

その自由な流動が「正」

Ⅷ.総一句(参究のために)

| 悪を断ずるにあらず
| 善を作るにあらず
| ただ法を凍らせざること
| これ四正断なり


この視点で読むと、

・迷い
・失敗
・煩悩
・習慣

すべてが 「断ぜられるべき対象」ではなく、
仏道が跳躍する現場 として立ち上がります。

次に進むなら:
・五根・五力との連関
・精進波羅蜜との違い
・只管打坐における四正勤

どこからでも、さらに深められます。

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