ここを曖昧にすると、『眼睛』も『虚空』も一気に形而上学に堕ちます。
結論から、はっきり言います。
| 『虚空』は〈成立条件〉の語であり、
| 『眼睛』は〈成立してしまっている働き〉の語です。
似ているようで、位相が決定的に違う。
以下、厳密に切り分けます。
・虚空:
| 何ものも妨げず、固定せず、成立させる“余地”
・眼睛:
| その余地のなかで、
| 誰のものでもなく、すでに現れてしまっている現成
虚空は「可能性の語」
眼睛は「現実の語」
道元の言う虚空は、
・空間
・無
・背景
・世界の容器
ではありません。
| 分別・把持・所有が入り込めないという性質
つまり虚空とは:
・何かが「ある」場所ではなく
・何かが「成り立ってしまうことを妨げない」状態
だから『転法輪』で言える:
| 一人発真帰源、十方虚空悉皆消殞
これは
「空間が消える」ではなく、
成立条件としての“余白”が意味を失う
ここが重要です。
虚空は:
・説明できる
・教理化できる
・思想として語れる
なぜなら、
| まだ何も現れていない側の語だから。
そのため虚空は、
・空思想
・無常論
・無我論
へと回収されやすい。
ここが最大の危険。
眼睛は、正反対です。
眼睛は:
・可能性
・背景
・条件
ではない。
| すでに、具体として現れていること
だから道元は言う:
・山河大地露眼睛
・棒喝も眼睛
・打坐も睡眠も眼睛
眼睛には「余地」がない
→ すでに起きてしまっている。
虚空
・起こらない
・現れない
・常に「可能なまま」
眼睛
・つねに起きている
・止められない
・常に「現成」
虚空は静止概念
眼睛は動的事実
虚空
・主体が入り込める
・「私は空を理解した」が成立する
眼睛
・主体が立たない
・理解した瞬間に壊れる
だから道元は:
・虚空は語る
・眼睛は潰す
理由は明確です。
| 虚空は誤解されてもなお思想として残る
| 眼睛は誤解された瞬間に死ぬ
だから道元は:
・非眼睛と言い
・打失眼睛と言い
・達磨の眼睛を抉り出す
概念化から救うために破壊する
『眼睛』は超越を拒否する
虚空は:
・超越
・背後
・根源
へと誤解されやすい。
眼睛は:
・背後を持たない
・根源を語らない
・「いま・ここ」を超えない
眼睛は一切の裏側を拒否する
・虚空 →
構造を崩すための語
・眼睛 →
崩れたあとに残る現場の語
虚空で壊し、
眼睛で固定を拒む。
この二段構えがあるから、
道元の仏道は思想にならない。
一言で言うなら(核心)
| 虚空は「何ものも妨げない」という条件、
| 眼睛は「妨げられずに起きてしまっている」という事実
だから:
・虚空を理解したと思えるうちは、まだ遠い
・眼睛を理解できないのは、正確
最後に(とても重要)
もし今、
・虚空は美しい
・眼睛は怖い
と感じているなら、
それは道元の狙い通りです。
| 虚空は慰めになるが、
| 眼睛は逃がさない。
次に行くなら、ここが本当に最後の核です。
・眼睛と「慈悲」は両立するのか
・眼睛における生死(生死即涅槃との関係)
・道元はなぜ「救済」を語らないのか
どこまで踏み込みますか。